最近、首の痛みを訴えるサーファーが増えています
6月に入り、海水温が上がってサーフィンを楽しむ人が増える一方で、「パドリング中に首が痛い」「波待ちの時に前を向いているのがつらい」といった症状を訴える方が急激に増えています。これらの症状の多くは「頚椎症」が原因となっています。
なぜサーフィンで頚椎症になりやすいのか?
パドリング時の不自然な姿勢
サーフボードの上でパドリングする際、以下のような姿勢を長時間続けます
- うつ伏せの状態で首を反らせて前方を見る
- 波の様子を確認するために首を左右に振る
- この姿勢を何十分も継続する
当院の患者さんからよく聞く症状
- 「パドリングで上を向くと首が痛い」
- 「パドリングで上を向くと腰が痛い」
この姿勢は頚椎(首の骨)と腰椎に大きな負担をかけ、頚椎の間を通る神経を圧迫したり、首や腰の筋肉を過度に緊張させる原因となります。
波に巻かれた際のリスク
また、「波に巻かれて腰と首を痛めた」という患者さんも多くいらっしゃいます。サーフィンでは予期しない衝撃や不自然な体勢になることがあり、これが急性の頚椎症や腰痛の原因となることがあります。
6月特有のリスク要因
- 急激な活動量の増加:冬の間あまり動いていなかった体で、いきなり長時間のサーフィンを行う
- 筋力の低下:オフシーズンで首や肩周りの筋力が落ちている
- 柔軟性の低下:寒い時期で体が硬くなっている状態から急に動き始める
頚椎症の主な症状
- 首の痛み:パドリング中や波待ち時の首の痛み
- 肩こり:首から肩にかけての重だるさ
- 頭痛:首の筋肉の緊張から起こる緊張型頭痛
- 手のしびれ:神経圧迫による手指の感覚異常
- めまい:首の筋肉の緊張による血流障害
サーフィン前後の予防策
サーフィン前の準備
- 首のストレッチ
- 首をゆっくりと前後左右に動かす
- 肩甲骨を回して肩周りをほぐす
- 少なくとも5分間のウォーミングアップを行う
- 段階的な慣らし
- 最初は短時間のセッションから始める
- 徐々にパドリング時間を延ばしていく
サーフィン中の注意点
- 定期的に首の力を抜く
- 波待ち時は首を左右に軽く動かす
- 疲れを感じたら無理をせず休憩する
サーフィン後のケア
- クールダウンストレッチ
- 首と肩周りの筋肉をゆっくりと伸ばす
- 温かいシャワーで筋肉をほぐす
- アイシング
- 痛みや熱感がある場合は15-20分間冷やす
こんな症状があったら要注意
以下の症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします:
- 手や腕に強いしびれや脱力感がある
- 頭痛が激しく、薬でも改善しない
- 首を動かすと激痛が走る
- 症状が数日続いている
日常生活での予防
姿勢の改善
- デスクワーク時の姿勢に注意する
- スマートフォンを見る時間を減らす
- 枕の高さを調整する
筋力トレーニング
- 首と肩周りの筋肉を鍛える
- 体幹トレーニングで全身のバランスを整える
当院での頚椎症治療について
当院では頚椎症も対応しています。
サーフィンによる頚椎症でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。患者様一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた治療プランをご提案いたします。
診療内容
- 詳しい症状の診察・評価
- 適切な治療方法のご提案
- 再発防止のためのアドバイス
サーフィン復帰に向けたサポートについて
当院では、ただ症状を治すだけでなく、患者様が安全にサーフィンに復帰できるよう、以下のような段階的なサポートを行っています。
サーフィンならではの不安にお応えします 多くのサーファーの方が「自然の中で行うものだから、もし陸に戻れないことがあったら怖い」という不安を抱えています。当院では、こうした不安を解消するため、海に戻る前に十分な準備を整えてからの復帰をサポートしています。
第1段階:症状の改善・安定化
- 痛みや炎症の軽減を最優先
- 頚椎と腰椎の可動域回復
- 日常生活での症状管理
第2段階:基礎体力・柔軟性の回復
- 首・肩・腰周りの筋力トレーニング指導
- 体幹安定性の向上
- パドリング姿勢に必要な柔軟性の回復
第3段階:サーフィン動作の段階的練習
- 陸上でのパドリング姿勢の練習
- 首と腰への負担を軽減するフォーム指導
- 短時間のサーフィンから徐々に時間を延長
サーファーの方の強み サーファーの皆さんはもともと筋力とバランス感覚が優れているため、適切な治療を行えば、一般の方に比べて回復が早い傾向にあります。この点も復帰への大きなアドバンテージとなります。
また、サーフィン復帰後も
- 季節の変わり目でのボディチェック
- サーフィン前後のセルフケア指導
- 症状の早期発見・対処法のアドバイス
など、長期的にサーフィンを楽しんでいただけるようサポートいたします。
「今シーズンはもうサーフィンできないかも…」と諦める前に、ぜひ一度ご相談ください。適切な治療と段階的な復帰プログラムで、多くの方が安全にサーフィンに戻られています。
まとめ
サーフィンシーズンの始まりとともに増える頚椎症は、適切な予防と対策により避けることができます。無理をせず、体の声に耳を傾けながら、安全にサーフィンを楽しみましょう。
症状が続く場合や悪化する場合は、我慢せずに専門医に相談することが大切です。早期の対応が、長期的なサーフィンライフを支える鍵となります。
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